今回は動物病院の経営戦略の方向性について記載します。目次1. どういう会社を目指すのか2. 3つの事業戦略の方向性正直に申し上げると昨今は、プライベートファンドや大手資本が動物病院の経営を規模の経済で運営する方向性も増えてきております。その中で動物病院としてどのような事業の登り方を行うのかが大切になってきているので、その辺りを解説していきます。1.どういう会社を目指すのか目指す事業規模はどのような世界か。フェーズ0:開業1年以内前提として院長先生が動物病院を開業する場合、最初は借入の返済とご自身の給料、スタッフの給料をしっかり払うために働く方がほとんどだと思います。1日4〜5件の飼い主に対応し、本当に潰れずに病院運営ができるかという不安の毎日の中で進める形です。集中するべきことは、集客です。たくさん来る様々なジャンルの業者さんの中から良い業者に頼んで、HPの改良や顧客満足度UP、広告出稿などに勤しんでください。1点だけ注意点があるとするとリース(5~6年契約のHP制作会社)には気をつけてください。フェーズ1:開業2~5年目以降ここから院長先生によって事業運営が異なってきます。好循環の中で事業運営を行われている院長先生の場合は、勤務医の先生を雇い始める時期です。年商5000万を超えたあたりから動き始めて新卒か中途の勤務医の先生を最低でも年商7000万に到達するまでに獲得する形になります。ただ、ここで大きな分岐点があります。採用がうまくいかない動物病院や多くの獣医師を抱えたくない院長先生かつ、専門性を極めたい院長先生の場合オンリーワン型の動物病院運営に舵をとる形です。オンリーワン型の動物病院とは、ある特定の動物病院の疾患を強化する病院で、ジェネラルとして1次診療も行いつつ隣の市からも皮膚外来や他の特定疾患でより広域で集客し対応する病院になります。この方向性で事業展開する院長先生は全体からすると珍しい傾向が強いですが、今後は増加傾向のある病院形態です。フェーズ2:ここからは、大きく3つの視点で展開します。1.総合力地域一番型動物病院2.小規模多店舗展開型動物病院3.オンリーワンのコングロマリット型動物病院1. 総合力地域一番型動物病院の場合基本的には医療の質、人材の質・数、病院面積、診療時間などで地域一番を目指す事業戦略です。いわゆる百貨店型の動物病院で、診療単価も徐々に引き上げながら総合的にサポートする形になります。ただ診療単価を引き上げるというのは、単純に値段を他院の倍以上上げるという考え方ではなく、適正価格の診療代をいただき、精密な検査など結果的に高額になってしまう治療オプションもしっかり対応できる病院だからこそ単価が上がっていくというイメージです。顧客層としては、とにかくうちのペットのためにできることをやって欲しいという方になります。この段階で一番注力するべきことは、地域連携です。その地域のハブとして他のかかりつけ病院とうまく連携し、人の医療で提唱されている地域包括医療体制を構築することが重要になります。2.小規模多店舗型動物病院小規模多店舗型動物病院の場合は、いわゆるドミナント戦略が望ましいです。一番の経営リスクとして獣医師や看護師の離職のため、店舗運営の仕組みをどのように構築するかが重要です。1店舗ごとの年商規模は、現状のモデルの場合であれば最大でも7000万~1億/店舗の印象が強いですがそこはどの会社とタッグを組むのかによって異なります。集客パワーのあるホームセンターを運営する会社とタッグを組むなど、各社特徴が見られる領域です。3.オンリーワンのコングロマリット型動物病院この動物病院の場合は、まず1ドクターで年商1億以上を目指す必要があります。その上で院長だけのパフォーマンスに限界がくる時、ケアに使用する商品など関連商品を自社開発する傾向があります。結果的に、会社の売上が徐々に物販などの売上も構成費として占めてくる形です。コングロマリットとは、1つの事業だけでなく複数の収益の柱をもつ会社のことをさし、オンリーワン型の動物病院が目指す大きな方向性の一つになります。そのほか、FCモデルに近い事業展開(自社のオンリーワンノウハウを再現性の高い形に落とし込む)をされている動物病院もあります。最終的には、FCモデルに近い形をうまく会社としてマネージメントする事業会社の側面が出てくるのがこのモデルです。いかがだったでしょうか?長文で書きましたが、皆様の事業戦略の参考になれば幸いです。株式会社kiroql