電子カルテとは近年、医療業界全体でデジタル化が進んでおり、動物病院においても電子カルテの導入が注目されています。電子カルテとは、従来の紙ベースのカルテをデジタル形式に変換し、コンピュータやタブレットを使って情報を管理するシステム・サービスです。これにより、診療情報を効率的に管理・共有することが可能になります。電子カルテには、診療記録、検査結果、薬剤情報、画像データ、経過報告など、動物の診療に関するあらゆる情報が含まれます。これらの情報は、病院内の複数のデバイスや診療科間で迅速に共有することができ、診療の効率化と精度向上に寄与します。また、電子カルテはデータの安全性を高めるために、アクセス権限の設定や暗号化、バックアップ機能などのセキュリティ対策が施されています。これにより、紛失や情報漏洩のリスクを軽減し、飼い主様と患者様(ペット)のプライバシーを保護することができます。電子カルテの導入は、初期費用や運用コストがかかるものの、長期的な視点では大幅な効率化およびコスト削減効果が期待できます。また、紙カルテでは難しかったデータの分析や統計処理も容易に行えるため、診療の質の向上や経営改善にもつながります。電子カルテを導入する5つのメリット電子カルテを導入する最大のメリットは、診療の効率化です。以下に、具体的なメリットを挙げてみましょう。1. 情報の一元管理と迅速なアクセス電子カルテでは、診療に関するすべての情報を一元的に管理できます。これにより、過去の診療記録や検査結果、薬剤情報を迅速に検索・閲覧することが可能となり、診療のスピードが向上します。また情報がデジタル化されているため、複数の診療科やスタッフ間での情報共有もスムーズに行うことができます。入力した情報が一覧になって統一かされていたり、すぐに履歴を確認できるため、動物病院スタッフ全員でのフォローアップが可能となります。2. データの正確性と信頼性の向上紙カルテでは手書きのため、読みづらさや記載ミス、記載漏れなどが発生することがあります。電子カルテでは入力ミスを減らし、データの正確性を高めることができます。また、診療情報がデジタルデータとして保存されるため、長期間にわたって劣化することなく、信頼性の高いデータを保持できます。また写真や動画などを紐づけることで、治療結果の推移をしっかりと把握することができます。3. データ分析と診療の質向上電子カルテに蓄積されたデータを活用して、診療の傾向や患者様(ペット)の経過を分析することができます。これにより、診療方針の見直しや改善点の発見が容易となり、診療の質を向上させることができます。またデータを基にした統計処理により、病院全体の経営改善にも寄与します。4. セキュリティ対策とプライバシー保護電子カルテは、アクセス権限の設定やデータの暗号化、定期的なバックアップなどのセキュリティ対策が施されているため、情報の紛失や漏洩のリスクを軽減できます。これにより、飼い主様・患者様(ペット)のプライバシーを保護し、安全な診療環境を提供することが可能です。5. ペーパーレス化によるコスト削減電子カルテの導入により、紙カルテの管理や保管にかかるコストを削減できます。また紙の使用量を減らすことで、環境保護にも貢献できます。さらに物理的なスペースを有効活用できるため、病院内のレイアウトや運用の効率化も図れます。長年にわたって来院されている患者様の場合は、カルテがファイルに収まらないほどの厚みになっているケースもあるのではないでしょうか。紙の経年劣化や破損などのリスクもあるため、早めのペーパーレス化が必至になります。電子カルテのデメリット電子カルテの導入には多くのメリットがある一方で、デメリットや課題も存在します。以下に、主なデメリットを挙げてみます。1. 運用コストが必要紙カルテの管理・保管コストや人件費などを削減できる一方で、電子カルテの導入費用や毎月の運用コストが新たに発生します。数年単位でみて、削減コストと運用コストが見合っているのか、その観点でさまざまなサービスのなかから検討できると良いでしょう。2. スタッフが操作に慣れる必要がある電子カルテを効果的に活用するためには、スタッフがシステムの操作方法を習得する必要があります。全員とまではいかなくとも、主に受付を担当するスタッフは使用方法をしっかりと理解する必要があります。営業担当がフしっかりとレクチャーしてくれたり、わかりやすい操作方法の動画があるなど、フォローアップがしっかりとしているシステムやアプリを選択するようにしましょう。3. システム障害時のリスク電子カルテはコンピュータやネットワークを使用するため、システム障害やネットワークトラブルが発生した場合、診療業務が一時的に停止するリスクがあります。これを防ぐためには、システムのバックアップや冗長化、トラブル時の対応策を事前に準備しておく必要があります。4. データセキュリティの確保電子カルテには患者様(ペット)の診療情報が含まれるため、データセキュリティの確保が重要です。情報漏洩や不正アクセスを防ぐためには、適切なセキュリティ対策を施す必要があります。また、データのバックアップや災害対策も重要です。現代は電子カルテ導入有無にかかわらず、個人情報の取り扱いには十分注意する必要があります。この機会に、データセキュリティを見直してみるのも良いかもしれません。おすすめのツールの特長現在、動物病院は人員不足の傾向があり、電子カルテの他にもさまざまな業務の効率化が求められています。ツールやシステムを選択する際は、電子カルテの他にも診察予約、問診、新規患者様の獲得に活かせるようなサービスをひろく展開しているものを選択すると良いでしょう。また人の医療機関で使用されているツールよりも、動物病院に特化したサービスは、運用コスト・費用面の削減や、飼い主様へのきめ細やかなフォローが可能です。どのツール・システムを選んだら良いか分からない…という場合は、まず「動物病院に特化しているもの」を調べて検討してみると良いかもしれません。無料デモを実施しているなど、運用のイメージがつきやすいものもおすすめです。まとめ電子カルテの導入は、動物病院の診療業務を効率化し、診療の質を向上させるための重要な手段です。電子カルテを導入することで、情報の一元管理や迅速なアクセス、データの正確性と信頼性の向上、データ分析による診療の質向上、セキュリティ対策とプライバシー保護、ペーパーレス化によるコスト削減など、多くのメリットを享受できます。デメリットを含めて、病院のニーズや規模、運用コストに合わせて最適なツールを検討してみましょう。これまで長い間紙カルテを採用されてきた動物病院様では、「日々の診察や病院運営の傍ら興味はあったけど、なかなか腰が上がらなかった」といったお声を多く耳にします。そんな院長先生や病院スタッフ様ほど、導入後には快適さや利便性に驚かれていらっしゃいます。日が経つにつれて患者様の数が増え、その分管理している情報も増えていきます。「思い立ったが吉日」と、ぜひ一度、貴院に合ったツールやシステムをご検討ください。